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週刊新潮 八月十六・二十三日夏季特大号
「石原良純の楽屋の窓 」
212回
夏祭り×3

 観ていただけましたか。タレント東京都知事の僕が、ボウリング真剣勝負に挑む勇姿。
”TEN竺ボウリング”は、映画『西遊記』のテーマ”なまか”にちなんだ『FNS27時間テレビ』の目玉企画。故郷のためにご当地出身の一日タレント知事が、ボウリング一投勝負で、系列二十七局の頂点を競う。
 見事にストライクを出して優勝すれば、各知事が、おのおの掲げた公約を実現するための支援金として、一千万円を獲得できる。
 僕の公約は、「渋谷川を、童謡『春の小川』に歌われた頃のような清流に戻すこと」。
 僕がまだ『西部警察』の新人刑事だった頃、犯人を渋谷川の川底に追いつめ、格闘の末に逮捕したことがある。その時、僕の真っ白なジャンパーには、ドブ川の飛沫が飛び散り、オロナミンC色の不思議な水玉模様になっていた。その渋谷川にメダカや鮎を甦らせようというのだ。
 予選、準決勝を勝ち抜いた僕は、お台場フジテレビの第四スタジオに造られた特設レーンで決勝戦に臨む。大道具さんが建て込んだレーンは、なぜか通常より十五センチ長かった。
 決勝会場には、予選で敗れたタレント知事はもちろん、SMAPのメンバーをはじめ大勢の出演者が詰めかけた。もちろん、その模様は全国ネットで生中継されている。一千万人以上の人に見守られていることになる。
 僕の渾身の一投は、理想的な弧を描き、ポケットを目指す。ボールは見事にヘッドピンをとらえ、十本のピンを蹴散らした。誰もがストライクを確信した次の瞬間、はじけ飛ぶピンの向こうに、ただ一本、十番ピンが姿を現した。アンラッキーなテンピンタップだ。残念ながら、僕は優勝は果たせなかった。が、真夏の夜の戦いに悔いはない。
 そこから会場は、一気にフィナーレへと傾れ込む。最後は、二十七時間不休でパーソナリティを務めた香取慎吾さんを中心に、出演者総出で『世界に一つだけの花』を大合唱して二十七時間の番組は幕を閉じた。
 フロアディレクターから大声で「お疲れ様でした」と声がかかり、万雷の拍手がスタジオに湧き起こる。夏の一大イベントを、ともにやり終えた充実感に皆、笑顔で肩を叩き合い握手を交わす。しかし、僕にはそんな祭りの余韻にひたっている暇はなかった。
 二十七時間テレビ終了と同時に始まった、報道特番『スーパー選挙王』のスタジオへ、駆け出さなければならない。参議院議員選挙が一週間ずれ込んだおかげで、テレビ局も、僕も、大わらわなのだ。
 僕は、筋斗雲が描かれたユニホームを脱ぎ捨て、ダークスーツで身を固める。ボウリングのことを頭からスッパリ切り捨て、選挙モードに切り換えてキャスター席に滑り込んだ。
 この参院選では、僕は選挙戦の生の空気を探るべく、各党の党首を追って全国を巡った。
 公示日、渋谷ハチ公前に訪ねた安倍総理。
 容易にはたどり着かない遠隔地ばかりの遊説スケジュールの中、ようやく巣鴨の”とげぬき地蔵”に姿を現した民主党の小沢代表。二人の顔色や聴衆の反応から、選挙戦の結果がおのずと見えてきた。
 夏祭りのようににぎやかに過ぎ去ったボウリングと選挙。でも、僕の夏祭りはまだ終わらない。
 来る八月十八・十九日は、日本テレビ『24時間テレビ』。今年のテーマは”人生が変わるとき”。
 僕は魚が大好きな少年の夢をかなえるべく、駿河湾に深海魚を追う。大きなイカが現れるのか、グロテスクな怪魚が現れるのかは、放送日のお楽しみ。
 踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら…やっぱり祭りには参加してみるものだ。

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